人が亡くなるということ
今朝、実家の祖母が亡くなりました。
苦しまずに穏やかに、最期を迎えたそうです。
授業中に先生から電話の呼び出しがあり知りました。その場で、泣き崩れました。
実家のおばあちゃんとは、ここに書ききれないくらい色々ありました。
私は物心ついた時からずっとおばあちゃんが嫌いでした。
うちは、喧嘩ばかりの家庭でした。
祖母は父と一緒になって母をいじめて、口がとても達者で荒くて、雑で、人の気持ちなんか考えなくて、お金ばっかり使って、大食いで太り過ぎててだらしなくて。
母からおばあちゃんに何をされたのか聞かされるたび、おばあちゃんの普段の行動を見るたび、どんどん嫌いになっていく。お母さんをいじめるなんて許せない。足が壊れるくらい太ってるし、食べ過ぎてて食べ方も醜い。足の入院や手術もしてもらって当たり前。
本当に本当に、嫌いでした。母のために母を守るために嫌いでいようとしていました。
本来ならここは私が介入する領域ではなかったのだと思います。ほっときゃ良かったんです。でも、きっと、いろんな意味で感情的だった私は、母を想いすぎたのでしょう。
母は娘の私にしかはけ口がなかったのだと思います。母もパニック障害になるくらい追い込まれてましたから。
でも同時に、日に日に罪悪感は大きくなりました。
小さい時から、孫としては可愛がってくれたおばあちゃん。母が狂って私に攻撃をしてきた時期、母の悪口を言いながらも、自分の部屋にかくまってくれて一緒に寝てくれたおばあちゃん。
「お母さんはあんたが憎くて怒ってるんやないんや」って、背中をさすってくれた。
今思うと、母のことも庇っていたおばあちゃんだったんだ。きっと、心のどこかでは母に感謝していて、素直に言えなかったんだろう。
おばあちゃんは私の父と母が結婚する直前におじいちゃんを亡くした。死んだほうがマシだって思ったよと言っていた。相続税とかで借金がたくさんできたところに親戚の裏切り。膨らむ借金に奪われる財産。そこに嫁に来た母。
母の苦しみと、祖母の苦しみの対立がここから始まったのだと思う。
「あんたが来たせいや、親戚中がめちゃくちゃや」
借金を返すために何もわからないまま会社員だった父の代わりに家業をこなし節約する母に、暴言を吐き続けました。
「あぁかなん、あんたがケチケチしてて」
私は以上のことを直接聞いたわけではありません。母から聞かされたことが全て私にとっての事実でした。
もっと、いろんなものを急に抱えすぎたおばあちゃんや急に父を亡くした父のことも慮ればよかった。そんな器量がなかった。
そんなおばあちゃんに、私は辛く当たり続けました。すごく冷たい孫でした。笑顔もなく素っ気なくて、返事しても顔を見ない。そんな状態が私が嫁に行くまで続きました。
精神が病んできたのに改善されない家庭環境に耐えられず、一年ほど家出もしました。
なのに、私の結婚が決まったら誰より喜んで、愛嬌ある笑顔でお祝いしてくれました。
おばあちゃんは、すごく愛想が良くてお人好しで友達も多い人でした。
母は、お人好しだからすぐに騙されると憤慨してたけど、私は今になれば、おばあちゃんは本当に愛嬌のある魅力的な女性だと心から思います。
初めて会った人にもフレンドリーに接して、打ち解ける。
旦那のご両親が初めて実家に来られた時、緊張されているご両親に、完全にナチュラルにそれをやってのけた彼女を見て、心底、初めて、その魅力を感じたのを今でも覚えています。
おばあちゃんは、私が嫁に行くその日、涙を流して、「さみしいわ」と少し弱り始めて小さくなった身体で抱きしめてくれました。
こんなクソ孫をです。
反抗ばっかりしてクソでしかない。
メンタル病んでるし摂食障害でガリガリで生理もないひ孫も産めないクソ孫。
生理がないっていつまでも心配し続けてくれたおばあちゃん。
戻せなくて、ごめん。ひ孫を産めなくて、ごめん。全部全部ごめん。今言っても聞いてくれるかな?
退院して働いて学校に行けるまで回復した時、おばあちゃんは入院中だったけどお祝いしてくれたよね。
だから、私はお葬式が終わったら、ごめんすぐ帰って学校に行くよ。おばあちゃんはこの中に生きてるから。学業を全うする。立派な人間になるって誓うよ。
おばあちゃんが今日、人間に病んでばかりの私に、頑張れって伝えてくれたんだね。
絶対立派な人間になるよ。
人が亡くなること・死は、悲しいことではない。
意味があって、残されて生かされている人間がどうより良く前に進むかを教えてくれるんだ。
だから神様は死を用意した。
死を意識することはすごく尊いことだ。
おばあちゃん、ありがとう。
天国でおじいちゃんに会えたかな?
こんどは仲良くしてね。
生きてる私は精一杯頑張るよ。
後悔しないように、生きるよ。
大好きな人たちを幸せにする、そんな人になるよ。
ありがとう。ありがとう。
あなたの孫に生まれて幸せでした。
そしてこれからも、幸せです。